狛江の自転車専門店、SAGEBICYCLESです。
自転車は機械であり道具なので、使っているうちに不具合が出て来ます。
タイヤ、チューブ、ブレーキシューなどのゴム製品や、アウターケーブル、インナーケーブルバーテープなども、紫外線や空気中のオゾンなどで劣化します。
当店の場合のオーバーホールは動く部分、多くは回転する部分を分解洗浄して新しいグリスに入れ替え、ディレイラーやブレーキなど動くパーツは必要に応じて分解掃除します。
悲しいことに多くの新車の自転車は、コスト削減のために本来溢れるほどグリスが入っていて欲しいところに、申し訳程度しか注入されていなかったり、質の低い安いグリスが入っていたりしますから、多くの場合オーバーホール後の自転車は、新車のときよりももっと本来の性能を発揮してくれたり、扱い易いものになってくれたりします。
新車以上に新車になるってすごくないですか?
フレームの素材がカーボンであれアルミであれ鉄であれ、回転する部分は鉄やアルミですから、オーバーホールの効果は変わりません。
最近つくづく思うのですが、いい自転車は安い買い物ではありません。
調子が良くないからとおいそれとは買い換えできないものです。
ならば手を掛け、本来の調子を取り戻して乗る方が楽しいし、安全です。
普通にできる手の掛け方としては掃除でしょう。
チェーンをはじめ、チェーンリングからスプロケットを、原液の家庭用中性洗剤と捨てるような歯ブラシで洗ってあげれば、びっくりするほどクランクは軽く回るようになります。ただし洗剤をよく洗い流すことを忘れずに。
反対に手を掛けようとしてかえって状況を拗らせてしまうことがあります。
一般の方が多くやってしまいがちなのが、過剰な注油です。
チェーン周りやブレーキのシャフトなどの定番箇所から、外から注油してもまったく効果のないヘッド周り、ハブやクランクなど。
持ち込まれる自転車の多くがこの辺の汚れた自転車です。
汚れたままの注油は効果がないだけでなく、ホコリや金属紛などをヘドロ状にして抱え込んでしまうため、ギアやチェーンにはいいことがひとつもありません。
また、リアディレーラーのプーリーやスプロケット、チェーンリングにもしつこい汚れが付き、変速性能を低下させることにも繋がります。
注油の前には必ず洗車をお勧めします。
先ほど書いた「注油しても意味のない」とはどういうことでしょう?
基本的に屋外で使う自転車には、汚れや水などに入ってきて欲しくない場所があります。
ヘッド、ハブ、BB、ペダルシャフトなどですが、ここにはベアリングが入っていて密閉された状態になっています。ですから外側からこの部分に注油しても、オイルは必要な部分に到達しませんし、粘度の低いサラサラしたオイル(CRC556など)は、最悪グリスを洗い流してしまうこともあります。
ですから新たに注油する際には分解するしかないのですが、そのための道具がちょっと特殊になります。
だから自転車屋が存在するのです。
ちょっと専門的ですが組み直す際には「玉当たり調整」と呼ばれるちょっと専門的知識が必要な作業もあります。
儲かる自転車屋とは、自転車がたくさん売れる自転車屋です。
修理やオーバーホールに何十時間掛けても、時給換算すれば高校生のアルバイト並み、いえ、それ以下かもしれません。
でもきれいになって調子のよくなった愛車にまた乗れる喜びは、ちょっと特別だと思うのです。
だからそのお手伝いをする。
なんだ、ウチが儲からないのはオーバーホールを勧めちゃうからなんだな。